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社内の顧客情報、全員に見せて大丈夫?権限管理と操作履歴の決め方

まず押さえたいこと

顧客情報の共有では、役職だけでなく担当案件や部署、操作の種類で範囲を決めます。閲覧と出力、編集と承認を分け、異動や代理期間の終了時に権限を見直します。変更理由を追う操作履歴も、同時に設計することが大切です。

  • 見られることと、編集・承認・一括出力できることを分ける。
  • 画面だけでなく、検索・添付・APIからも同じ範囲を守る。
  • 権限を外す場面と、変更理由を調べる場面を実際に試す。
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このガイドの背景

担当者どうしで顧客情報を共有したい。でも、原価や他部門の案件まで全員に見せてよいのか迷う。細かく制限すると、今度は問い合わせや権限変更の依頼が増えそうです。

使える権限管理は、役職の上下だけでは決まりません。「誰が、どの案件の、何をするか」を分けるのが出発点です。共有を進めながら見せ過ぎを防ぎ、後から変更理由も追える仕組みを考えます。

「全員に共有」と「担当者しか見られない」の間を作る

説明用の例として、営業、経理、外部の作業スタッフが同じ案件を扱う会社を考えます。営業は顧客の要望、経理は請求先、作業スタッフは訪問場所を知る必要があります。同じ案件だからといって、全員に仕入原価や全顧客の連絡先まで見せる理由にはなりません。仕事に必要な項目と、担当する案件の範囲を重ねると、共有する単位を小さくできます。

まず守りたい情報を選び、それぞれを使う人に用途を聞きます。閲覧できても金額の訂正はできない、担当案件を見られても全件出力はできない、と分けると、日常業務を妨げず制限を設けられます。OWASPも必要最小限の権限を推奨しています。ただし細分化するだけで終わらせず、担当者が付与理由を説明できる粒度にすることが運用の条件です。

参考:OWASP Foundation:Authorization Cheat Sheet

管理者を増やす前に、任せたい操作を分ける

困ったときに全員を管理者にすれば、権限の問い合わせは減るかもしれません。しかし一件の請求訂正のために、利用者の追加や他部門の削除まで許可することになります。説明用の例では、経理へ請求情報の訂正を認めつつ、受注明細の変更は営業の再申請にする案が考えられます。システム設定を管理する人と、取引を承認する人も同じとは限りません。

次の比較は、実際の案件に合わせて調整するための考え方です。利用者数だけで決めず、担当替えや外部スタッフの参加がどれほどあるかを見ます。個人名ごとの特例を増やし続けるより、役割と案件の所属を組み合わせた方が、交代時に何を変えるべきか説明しやすくなります。

表が収まらない場合は横にスクロールできます。

権限の分け方によって残る問題
分け方扱いやすい場面気を付けたいこと
一般・管理者だけ対象業務も担当者も限られる管理者へ不要な操作が集まりやすい
役割と部署で分ける部内で情報を共有する兼務や他部門への応援をどう扱うか
役割と担当案件で分ける外部スタッフや担当交代がある案件の割当と失効を維持する必要

一覧から消しても、情報を守れたとは限らない

画面の列を非表示にしても、別のURLや検索、添付ファイルから情報を取れるなら、閲覧制限として不十分です。OWASPはリクエストごとの権限確認と、サーバー側での制御を求めています。発注側は仕組みの詳細をすべて決める必要はありませんが、「一覧・詳細・検索・出力で同じ範囲になるか」を、試験結果として確認できます。

データベースに行単位の制御を設ける方法もあります。PostgreSQLの公式資料では、強い権限を持つロールや通常のテーブル所有者などが制御の対象外になる条件が示されています。採用している技術名だけでは保護を判断できません。通常利用で使う接続と保守用の接続が違うかも含め、許可しない情報が返らないことを開発会社に確かめてもらいます。

設計の要点情報を返すまでに守る範囲
  1. 業務のルール

    役割・担当案件・操作ごとに許可を決める

  2. システムの確認

    検索やAPIでも利用者の許可を確認する

  3. データとファイル

    保存先と接続権限でも境界を守る

画面で隠すだけにせず、情報を取得する経路全体で同じルールを適用します。

参考:OWASP Foundation:Authorization Cheat Sheet / PostgreSQL Global Development Group:PostgreSQL Documentation: Row Security Policies

異動と代理対応の日に、権限の使いやすさが分かる

説明用の例として、部門長の休暇中だけ別の人が承認するとします。代理者に無期限の権限を加えると、休暇が終わっても承認できる状態が残ります。代理の対象、期間、依頼者を記録し、終了時に外す手順が必要です。本人の申請を代理権限で自己承認できないかも、通常の承認とは別に確かめます。

異動では、以前の案件を引き続き見る必要があるかを判断します。単に部署を変更すると、過去履歴が急に見えなくなる場合も、古い所属の情報を見続ける場合もあります。退職や外部委託の終了時は、既存のログイン状態や発行済みの共有リンクまで確認対象です。付与する操作だけでなく、権限を外した直後に何ができなくなるかを試すと、実際の運用を評価できます。

「誰が変えた?」に答えるための記録を残す

顧客の請求先や単価が変わったとき、ログイン履歴だけでは変更理由を説明できません。必要なのは対象の取引、操作した人、時刻、変更内容、理由、結果のつながりです。自動処理で変わった場合も、どの処理かを識別できるようにします。手動で再実行した操作なら、依頼者と実施者を記録すると後から経緯をたどれます。

OWASPのログ指針は、調査に必要な情報を残す一方、パスワードやアクセストークンなどの秘密情報をそのまま記録しないよう示しています。顧客情報を丸ごと複製すればよいわけではありません。記録を読む人、変更や削除ができる人、保存の期間も決めます。ログの存在が不正操作を防ぐのではなく、権限制御と事後確認を組み合わせて役立てます。

参考:OWASP Foundation:Logging Cheat Sheet

依頼先には、見えないことと調べられることを見せてもらう

試験では担当案件、他部門の案件、担当を外れた案件を用意し、同じ人が検索や出力を試します。成功する操作だけでなく、禁止した操作が拒否されることを確認してください。次に、請求先を変更した一件をログから探し、いつ誰が何を直したかを業務担当者が説明してみます。保存されていても取り出せない記録では、問い合わせ対応に使いにくいためです。

見積もりに含めたいのは、権限設定画面だけでなく、この試験、代理や異動の手順、記録の検索と引き継ぎです。権限の組み合わせや例外が増えるほど、改修後の確認も増えます。費用を抑えるなら必要な役割を絞りつつ、守るべき情報や操作まで省かないようにします。導入後は利用者一覧と現在の仕事を照らし、不要になった権限を見直せる担当者を置きましょう。

検討・発注前のチェックリスト

担当者と確認状況を添えて、社内の検討メモや打ち合わせの議題にご活用ください。

チェックリストをテキストで保存

確認日:________________ / 担当者:________________

  • 共有する情報ごとに、使う人と用途を確かめる。確認状況・メモ:
  • 閲覧・編集・承認・出力を分けて考える。確認状況・メモ:
  • 他部門の検索結果や添付から情報が見えないか試す。確認状況・メモ:
  • 異動・退職・代理終了時の失効を確認する。確認状況・メモ:
  • 一件の変更理由を記録からたどれるか試す。確認状況・メモ:
  • ログの閲覧者、保存期間、記録しない秘密情報を決める。確認状況・メモ:

よくある質問

社内の人だけが使うなら、細かい権限は不要ですか?

社内でも、担当案件、個人情報、原価、確定後の訂正で必要な範囲は違います。全員に同じ情報を見せる前に、用途を確認してください。業務に必要な範囲を説明できれば、役割を必要以上に増やす必要はありません。

操作履歴があれば、誤った変更を元に戻せますか?

記録と取消機能は別です。変更を特定できても、請求や外部送信が済んでいれば訂正手続きが必要です。戻せる操作、再承認が必要な操作、保守担当に依頼する操作を分けておきます。

参考資料

製品の仕様・提供条件は変更されることがあります。採用時には公式資料と契約内容をご確認ください。

記事の内容を、自社の検討へ

共有と制限を両立する開発について相談する

誰に何を見せたいか、代理や訂正で困る場面をお知らせください。業務を進めやすい権限と、変更を追える操作履歴を、システムの開発範囲として整理します。

相談で整理すること

対象業務・開発する範囲・運用の分担。まだ決まっていないことも含めて、一緒に整理します。

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この記事について

編集・発行:株式会社ダンドリ

AI・業務システム・Webサービスの設計、開発、運用を支援する会社です。開発を検討する方が判断に使えるよう、公式資料と公開情報をもとに解説しています。

説明用の例と公開事例を区別し、参照した資料は本文と記事末尾に掲載しています。

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