本文へスキップ

業務システムはSaaSで十分?個別開発と迷ったときの選び方

まず押さえたいこと

SaaSと個別開発の分かれ目は、変更できない業務ルールを標準機能で扱えるかです。通常処理と例外を同じ条件で試し、残る手作業・利用料・連携保守を比較します。独自部分だけを開発する案も、連携の負担を含めて判断します。

  • 今の手順ではなく、業務で守りたい結果を基準にする。
  • 候補製品では、自社の担当者が取消や締め後訂正まで試す。
  • 初期費用に利用料と社内作業、将来の移行費用を足して比べる。
発注前のチェックリストを見る
このガイドの背景

よさそうなSaaSを見つけたけれど、自社の締め処理だけ合わない。開発会社の提案なら対応できそうでも、初期費用が気になる。機能表を見比べても決めきれない場面です。

まず、その独自手順を変えられるかで考えてみてください。標準機能で仕事が終わるならSaaSが候補になり、事業上外せない処理が残るなら追加開発を比べる意味があります。費用と運用まで含めて選ぶ方法を紹介します。

その独自ルールは、事業に必要なものですか

説明用の例として、訪問作業を請け負う会社を考えます。顧客名や連絡履歴の管理は一般的でも、採算には移動費、再訪問、未使用部材の戻しまで含めたいとします。この計算が受注判断に欠かせないなら、製品に合わせてなくすのは難しいでしょう。一方、申請をメールで送り直す慣習まで残す必要があるとは限りません。

ここで分けたいのは、必要な結果と慣れた方法です。「担当者別の原価が分かる」は必要な結果で、「今の表と同じ列順」は方法です。方法を変えられる部分が多ければ、SaaSの設定と業務の見直しで解決する余地があります。個別開発でもこの整理をしておくと、使われていない機能まで再現する費用を避けやすくなります。

選択肢は、買うか作るかの二つだけではない

既存サービスで顧客情報を管理し、案件の採算計算だけを個別開発する方法もあります。全部を作らずに必要な機能を補える反面、顧客の統合や案件の取消を双方に反映する連携が増えます。部分開発が小さいからといって、運用全体まで単純になるとは限りません。つなぐ部分を誰が直すかも費用と一緒に考えます。

次の表は、方式ごとの得意な条件を比べたものです。SaaSには設定や拡張があり、個別開発にも外部サービスの制約があります。製品名や技術名だけで決めず、「この仕事が終わったとき、誰に何が残るか」を候補ごとに書くと、自社の体制に合う案を探せます。

選択肢の比較説明用の例:訪問業務をどう支えるか
  1. 標準機能に合わせる

    採算まで再現できればSaaSでまとめる

  2. 必要部分を作る

    顧客管理を残し独自の採算計算を加える

  3. 一体で作る

    分離できない業務を共通のデータで扱う

採算計算と顧客管理の結び付きが強いかを確かめて、構成を選びます。

表が収まらない場合は横にスクロールできます。

導入後の仕事まで含めた三つの選択肢
選び方合いやすい状況引き受ける負担
SaaS中心標準手順で主要業務が終わる設定・利用者管理・例外対応
個別開発固有の計算や業務の流れが中核仕様決定・動作確認・継続改修
SaaSに追加開発独自の処理を分離できるデータ連携・双方の変更対応

デモでは、きれいに終わらない一件を試す

通常の登録ができても、取引が途中で変わったときに仕事が増えることがあります。先ほどの説明用の例なら、訪問後に追加作業が決まり、請求済みの案件へ原価を追加する場面です。自社の担当者に触ってもらい、どこまで自分で直せるか、何を別の表へ転記するかを観察します。候補ごとに同じ入力と訂正を試すことが大切です。

結果は「できた」でまとめず、標準機能でできたのか、設定したのか、別料金の拡張が必要なのかを分けます。月に一度だけの例外を人が処理する案もあり得ますが、その作業を担当する人と記録先が必要です。提供元に操作してもらうだけでは分からない負担があるため、採用予定のプランで試せる機会を求めましょう。

「APIあり」でも、必要な連携ができるとは限らない

SaaSにAPIがあっても、必要な項目を更新できるか、添付や履歴を取り出せるかは別の確認です。大量のデータを一度に送る場合には制限もあります。Microsoft Dataverseの公式資料では、サービス保護による429応答に待機時間が示されます。このような制約を調べずに月末集計を計画すると、通常日は動いても締めに間に合わない構成になり得ます。

併用を選ぶ場合は、項目ごとに正しい値を決める場所を揃えます。顧客の連絡先はSaaS、案件別原価は独自システム、と分けると説明しやすくなります。双方から同じ情報を自由に更新すると、古いデータで訂正を消すことがあります。初回のデータ取り込みと、停止後に未反映分を取り戻す作業まで、試作で確かめたい部分です。

参考:Microsoft Learn:Service protection API limits

月額と開発費を、そのまま比べない

比較する期間、人数、業務範囲を揃え、導入設定、移行、教育、利用料、連携の保守、改修を並べます。SaaS利用料が小さくても、毎日別の表で数字を合わせるなら社内作業が残ります。個別開発も初期費用で終わらず、業務変更や環境更新の費用が必要です。将来の人数を一つに決め打ちせず、現状と部門追加時を分けると変動要因が見えます。

ダンドリの業務システム・Webサービス開発の公表料金は80万円〜、設計・開発の料金基準は1人月160万円、160時間換算です。SaaS製品の平均相場や特定機能の定額ではありません。外部サービス利用料は別途必要で、機能、移行、連携の内容から個別に見積もります。同じ範囲で比較したうえで、予算が合わなければ初期対象をどこまで絞るかを検討します。

使い始めた後と、使うのをやめる日も考える

クラウド側で基盤を運用しても、自社の業務判断は残ります。Microsoftの責任共有モデルでも、SaaSのデータ、設定、利用者管理は利用者側の責任に含まれます。退職者のアクセスを止める、誤った取引を訂正する、承認者を変えるといった仕事を担える人が必要です。管理担当を置けない問題は、導入方式を変えるだけでは解決しません。

最後に、契約を終えるときに何を取り出せるかを試します。CSVの出力ができても、添付、変更履歴、データ同士を結ぶIDがなければ、次の仕組みへ移す調査が必要です。個別開発ではコードや設定、データ定義の引き継ぎ範囲を確かめます。候補の提案を比べる際は、導入後に残る制約まで説明してくれるかを見てください。

参考:Microsoft Learn:Shared responsibility in the cloud

検討・発注前のチェックリスト

担当者と確認状況を添えて、社内の検討メモや打ち合わせの議題にご活用ください。

チェックリストをテキストで保存

確認日:________________ / 担当者:________________

  • 残す必要がある独自ルールを、その理由とともに選ぶ。確認状況・メモ:
  • 取消や締め後訂正を含む一件を各候補で試す。確認状況・メモ:
  • 利用予定のプランに必要機能が含まれるか確かめる。確認状況・メモ:
  • 追加開発を行う場合は、更新元と障害時の担当を揃える。確認状況・メモ:
  • 比較期間と人数を揃え、社内作業も費用表に残す。確認状況・メモ:
  • 履歴・添付・IDを含むデータの取り出しを試す。確認状況・メモ:

よくある質問

SaaSに合わない処理が一つあれば、個別開発が必要ですか?

設定や手順の変更で吸収できるかを先に試します。頻度が低く記録を残せる例外なら、人が処理する選択肢もあります。その負担と追加開発・保守の負担を比べます。

導入後にSaaSから個別開発へ切り替えられますか?

検討できますが、出力できるデータとその関係によって移行作業が変わります。契約前に試験データを取り出し、次の環境で取引や履歴を再現できるか確かめておくと判断しやすくなります。

参考資料

製品の仕様・提供条件は変更されることがあります。採用時には公式資料と契約内容をご確認ください。

記事の内容を、自社の検討へ

SaaSで解決しきれない業務の開発について相談する

候補のSaaSと、試しても残った手作業をお知らせください。既存機能を使う案、必要部分を追加する案、個別開発する案を、ご予算と運用体制から検討します。

相談で整理すること

対象業務・開発する範囲・運用の分担。まだ決まっていないことも含めて、一緒に整理します。

業務システムの開発を相談する

この記事について

編集・発行:株式会社ダンドリ

AI・業務システム・Webサービスの設計、開発、運用を支援する会社です。開発を検討する方が判断に使えるよう、公式資料と公開情報をもとに解説しています。

説明用の例と公開事例を区別し、参照した資料は本文と記事末尾に掲載しています。

会社情報を見る